鬼丸雪山窯
東峰村
(独)国際協力機構(以下 JICA)と、東峰村(福岡県朝倉郡)、有限会社鬼丸雪山窯元は、草の根技術協力事業 1) 『ベトナム国バクニン省フーラン村陶器生産者生活向上計画』を 2021年8月17日より開始しました。
ベトナム北部バクニン省にあるフーラン村では、昔ながらの技法で水瓶、甕具などの大型の陶器を製作していますが、陶芸従事者の収入は、北部陶芸地域の中では一番低いという状況です。さらに、ガス窯での生産という工業化の波が押し寄せており、伝統的な手作りの陶磁器文化が途絶えようとしています。市場には、類似の大型商品が溢れており、このまま同様の大物陶器製作を続けても、商品が無駄に余り、低価格化、かつ陶土の大量消費が続き、天然資源の永続的活用による、陶器生産の継続へ影響を及ぼしかねません。
一方、ベトナムでの市場においては、高品質・高付加価値の器を使った上級のサービスやしつらえが求められている動向が見受けられます。そのため、日本でも有数の陶器名産地である東峰村、そして有限会社 鬼丸雪山窯元が誇る高い技術・技法、陶器についての知識を普及し、陶芸家の育成と市場へのアクセスルートを確保することを目標としています。
※ 1)草の根技術協力事業とは、国際協力の意志のある日本の NGO/CSO、地方自治体、大学、民間企業等の団体が、これまでの活動を通じて蓄積した知見や経験に基づいて提案する国際協力活動を、JICA が提案団体に業務委託して JICA と団体の協力関係のもとに実施する共同事業です。
参考URL:https://www.jica.go.jp/partner/kusanone/index.html
鬼丸雪山窯

窯元を構える福岡県東峰村(小石原)でつくられる陶器は、日本で最初に国指定伝統的工芸品として認定され、古くから伝統と技術をを認められてきました。高取焼は自然の特徴を美に変えて作品をつくってきた歴史があります。

しかし現在は、品種改良て原料となる植物の質が変わり、樹木伐採の偏りて特定の木灰も流通しなくなっている状況。そのため、高取焼を製作するための大切な素材のオリジナリティを保つことが難しい現状にあります。


そこで手付かずの自然環境を日本国外へ求め、途上国へ赴き、まだ見ぬオリジナルの自然環境を求めアジア諸国を調査してきました。


かねてから4つの課題を持ち、取り組んできました。
ベトナム国のフーラン村の現状を知り、今まで課題に取り組んで得た知見と活動を活かせることができ、高取焼窯元としてできることで世界を変えていこうと考えました。
- 1,価値観と美意識の自覚
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何が美しくて人を惹きつけるかを追求しなくてはならない
- 2,材料の確保
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世界各地の材料の調査、手付かずの自然の存在を知る
- 3,茶陶としての高取焼の未来・茶の湯の学び
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どう残し、伝えていくべきか
- 4,後継者の未来、将来を背負う
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人材育成・環境の整備の必要性
ベトナム陶器は古くから安南焼と呼ばれ、日本でも親しまれています。
ベトナムの生活スタイルは職人の技法や知恵を活かし、自然と共存した暮らしが営まれてきたうえ人間性は生真面目です。

フーラン村では川底の泥が天然の土灰になるなど、恵まれた環境が溢れています。
フーラン村に工房を作ることで天然素材を活かした焼き物をつくり、技を伝え、ベトナムの焼き物産業のオリジナリティを共働でつくり上げ、双方の未来をともに繋ぐことができるようJICAプロジェクトを発足しました。

経済の発展に伴う環境破壊、諸問題を抱える先進国日本。
私たちが失敗から得た学びをいかし、自然に寄り添った豊かで理想的な発展を職人の技と知恵で途上国をサポートしていきたいです。

自然環境を保全しながら全ての人が美しい、良いと思えるものをつくり続ける未来。
さらに人種、宗教、年齢を超えてともに取り組みその作品が世界に愛されるメッセージとなるよう目指します。
活動を通して世界環境保護をリードし、次世代に向け垣根の無い雇用を創出し続けることがこれからの希望ある未来へと繋がると信じています。
東峰村:自治体

「小石原焼」と「高取焼」という二つの焼物があり、焼物の里として知られる福岡県朝倉郡東峰村は、福岡県の中でも一番標高の高い約500mの位置に存在しています。日本棚田百選の竹の棚田をはじめ、日本の美しい風景に心癒される小さな村です。

人口が1,840人(2024年1月末現在)と小さい村ですが、小石原焼と高取焼を合わせて約44の窯元が伝統を受け継ぎ、昔ながらの手法で器を作っています。


約350年の伝統が息づく焼物は、技法を守りつつ時代に合った変化を遂げながら、日本そして世界から注目を集めています。
小石原焼
「小石原焼」は天和2年(1682)に黒田3代藩主・光之が招いた肥前・伊万里の陶工が中国風の磁器を伝え、既に小石原にあった髙取焼と交流することで、小石原焼が形成されました。

「飛び鉋」や「刷毛目(はけめ)」と呼ばれる模様が特徴で、人々の暮らしに寄り添う日用雑器として発展。大正・昭和にかけて“民藝の父”柳宗悦らに「用の美」と賞賛されたことで広く知れ渡りました。

高取焼

「高取焼」は「綺麗さび」と表現される茶の湯の美意識を受け継ぐ陶器。福岡藩主黒田長政が、連れ帰った陶工八山(日本名・髙取八蔵)に直方市鷹取山の麗に窯を築かせたのが髙取焼の始まり。

茶人・小堀遠州好みの茶陶を作った「遠州七窯」の一つに数えられます。2024年3月26日付けで県知事指定特産工芸品に指定されました。
「高取焼」を新たに県知事指定特産工芸品に認定 >>
同じ環境を持つ村として協力
東峰村では、「小石原焼」と「高取焼」という二つが親から子へと技術を引き継ぎ、今もなお伝統を守り続け、手作りの器をつくる職人たちがいる唯一の場所です。約350年続く陶芸がいきづく村であり、伝統産業として村としてこの産業を支えるまちづくりを行っている自治体です。

フーラン村と東峰村は、文化の継承と手作り産業の持続において共通部分が多いです。今回ベトナムのフーラン村プロジェクトでは、その知識を普及し、陶芸家の育成と市場へのアクセスルートを確保することを目標に携わっています。
2024年4月に、国際協力事業の一環でベトナムへ訪問しました。窯元の若手有志によるベトナムフーラン村への技術支援交流事業をJICA(国際協力機構)の支援をいただき実施しており、村として表敬及び意見交換を行いました。目覚ましく発展しているベトナムにおいて、器とともに食を楽しむ「用の美」が今後受け入れられ、マーケットとして確立できるように製陶の技術を伝え、フーラン村の窯元関係者の生活向上を目指し、小石原焼へもフィードバックできるような交流ができる可能性を感じてきました。今後、草の根交流の発展充実を期待しています。
東峰村長 眞田 秀樹(東峰村 えがお通信 令和5年5月 第16号より)
※注釈)東峰村の文章は自治体東峰村が運営している
「福岡県東峰村観光情報サイト:トーホースタイル」を参照しています。
http://toho-info.com/pott/


